先日、Twitterの創業者ジャック・ドーシー氏がweb3.0について、「web3はVCとVCが出資する企業のものであってみんなのものではない」とツイートして物議を醸しました。
元々、web3に批判的なイーロン・マスク氏も「誰かweb3を見たことある?僕は見つけられない」というツイートに対し、「たぶんaとzの間のどこかにあるよ」とジャック・ドーシー氏がリプを送り、これは名称「a16z」と表記するAndreessen Horowitzを指していることは明白です。
It’s somewhere between a and z
— jack⚡️ (@jack) December 21, 2021
分散型のインターネット社会を目指すweb3.0が果たしてVCとVCが出資する企業のものかどうかは今回の議論の対象ではないため、割愛させて頂きますがa16zというVCの存在がいかに巨大なものか分かります。
だからこそ既存のweb3.0のあり方に対して思うことがあるのではないでしょうか。
目次
a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)とは?
a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)は、2009年にマーク・アンドリーセンとベン・ホロウィッツによって設立されたベンチャーキャピタル会社で、本社はカリフォルニア州メンロパークです。
a16zは現在300人以上のメンバーで構成されており、基本的にみなさん経歴がエグいですが、特にマーク・アンドリーセン氏は世界初のウェブブラウザの「Mosaic」や「Netscape Navigator」のソフトウェア開発者です。
かつてビルゲイツ率いるMicrosoftと激闘のブラウザ戦争を繰り広げ、勝敗は言わずとも知れた結末に...。
その後、マーク・アンドリーセン氏とベン・ホロウィッツ氏が始めた「ラウドクラウド」が16億ドルで買収された後に、「創業者を助けるような、企業を作りたい」という想いをもって2009年に「Andreessen Horowitz」を創業しました。
今までなんで「a16z」がアンドリーセン・ホロウィッツやねんって思ってましたが、納得しました。
主な投資先はアーリーステージの新興企業と既存の成長企業。モバイル、ゲーム、ソーシャル、eコマース、教育、企業向けIT(クラウドコンピューティング、セキュリティ、SaaS) が主な投資領域になります。
Facebook、Twitter、Lyft、Slackなど次々と有名企業への投資を行い、a16zが投資したスタートアップ企業は必ず成功すると言われているのほどの世界トップクラスのベンチャーキャピタルです。
引用:https://techblitz.com/andreessen-horowitz/
facebookやslackだけでなく、airbnbやboxなど多くの人に利用されているwebサービスに投資しており、他にも多くの有名スタートアップへの投資実績を持っています。
最近だとクラブハウスのムーブメントを巻きこした
今年、音声SNS「クラブハウス」が話題になったことを覚えていますでしょうか?
僕自身は一度も使ったことがありませんが、Twitterでクラブハウスというワードを何度も目にし、多くの者が熱狂していました。
クラブハウスとは
テーマは参加している登壇者が決め、テック業界などの著名人が集まっていることが特徴です。例えば、D2CエキスパートのWeb Smith(ウェブ・スミス)氏がShopifyの話をしていたときに、ShopifyのCEOが自ら参加していたように有名人・著名人の話を直接聞くことができることが話題となり、ムーブメントを巻き起こしました。
a16zはこの「クラブハウス」を舞台裏から仕切っており、多くの芸能人やアスリート、起業家らにもクラブハウスの株式を持たせて、喋らせることでクラブハウスを盛り上げていました。
さらには「One on One with A and Z」という番組では、自らがホストとなり、多くの起業家・投資家に注目を集め、クラブハウスは瞬く間に「音声のSNS」として一躍有名になりました。
結果的に、a16zが主導として合計1200万ドル(約12億8500万円)もの大型資金調達に成功することができました。
a16zが投資している仮想通貨
そんなa16zですが、最近は仮想通貨の分野にも非常に注力しています。
a16zが創業してから10年目の2019年3月、「VCなのに、VCを辞める」というコンセプトを打ち出しました。
これまでのVCの免許では仮想通貨になかなか手を出すことができないため、VCとしての免許を放棄し、「登録投資顧問(RIA)」という金融企業にすることで仮想通貨への投資を行う方針へと舵を切りました。
この世の中の変化に対応する素早さこそ、a16zが世界トップクラスのベンチャーキャピタルになれた理由ですね。
また、既存のVCとしての免許を捨ててでも仮想通貨に注力したい、という意思表示でもあることが分かるので、仮想通貨に触れている我々にとっては嬉しいです。
Aelo、Anchorage、arweave(AR)、AvaLabs(AVAX)、axoni、Bitski、celo、china、CoinSwitch、compound(COMP)、Dapper、dfinity、diem、dydx、eco、ElementFi、Forta、Foundation、GoldFinch、HandsShake、Habor、KEEP(KEEP)、MakerDAO(MKR)、Manifold、NEAR、OASIS Labs、OpenBazaar、OpenSea、Orchid、Phantom、Polychain Capital、Protocol Labs、rally、Solana(SOL)、TALOS、TradeBlock、trusttoken(TUSD)、Uniswap(UNI)、Valora、META4、Axie Infinity、Coinbase
すでに上場しているAVAX、NEAR、Solana、UNIなど今や時価総額の高い有名プロジェクトにも先行投資を行っていることを考えると、いかに投資の選定能力に優れている集団か分かりますね。
a16zでゼネラルパートナーを務めるクリス・ディクソン氏とケイティー・ホーン氏がブログにて「コンピューティングの次の技術革新の波は暗号資産がけん引すると確信している」と述べており、Bitcoinの価格が3万ドルを割り込んだ6月にも「価格が上下したとしても、技術革新が一貫して加速していることを暗号資産の歴史が証明している」と主張しており、a16zは一貫して仮想通貨に対して強気の姿勢を見せています。
a16zの投資先から見る次のトレンド
DAO
以下の記事では将来的にはこれまでのように人々は企業に勤めず、自分のしたことで生計を立てていけるようになり、その働き方を可能にするのがDAOであると説明しています。
The Future of Work is Not Corporate — It’s DAOs and Crypto Networks
将来の働き方、DAOが従来の組織と何が異なるのか、またDAOの構造など解説しており、注目していることは間違いなさそうですね。
ゲーム
State of Play: ゲーム業界に革命を起こしている 6 つのトレンド (a16z)でゲーム産業について記事を出しているように、a16zはゲームにかなり注力しているように感じます。
王道Axieはa16zが主導するシリーズBラウンドで1億5200万ドル(約170億円)もの額を調達しており、今年の8月にはYield Guild Games (YGG)もa16z主導によるラウンドで約5億円を調達しているように、a16zがゲームプロジェクト(+ギルドコミュニティ)に対して注力していることも分かります。
また、オンラインゲームプラットフォームのRobloxがAndreessen Horowitzから165億円調達、評価額4400億円にでも紹介されているように、オンラインゲームのRobloxに投資しており、ブロックチェーンに限らずゲーム産業がこれから大きなトレンドを迎えることを予想しています。
それが結果的にメタバースにも繋がっていきますし、「ゲーム」はブロックチェーンに限らず重要なコンテンツになっていきそうです。
メタバース
Three Steps to the Futureでweb3に、VR/ARはメタバースに再定義されると提唱しているように、メタバースについても注目していることが分かります。
a16zはFacebookが買収する前にOculusに投資をしていたりと元々VR産業にも注力しており、最近ではメタバースゲームプラットフォーム「Mythical Games」にも170億円調達を主導したことを発表していました。
また、10月にはNFTコレクションファンドである「Meta4」に100億円規模の資金調達の主導を行い、FoundationやOpenSeaなどのNFTマーケットプレイスにも投資をしており、NFT/メタバースに注目していることは間違いなさそうです。
・SNSのようなコミュニケーション手段としてのメタバース
・バーチャル空間の面白さを活かしたゲーム
のような熱狂を生む2つの潮流があります。
現時点ではメタバースがどのような形で盛り上がるか分かりませんが、メタバースの文脈で情報を追いかけていくのが良さそうです。
a16zのポートフォリオは参考にすべし
いかがでしょうか?
a16zはシリコンバレーを始めとするベンチャー企業だけでなく、仮想通貨市場においても無視はできない存在となっています。
良くも悪くも今後訪れるであろうweb3.0、メタバースもこのa16zが主導となり、トレンドを生み出してくる可能性が非常に高いです。
MicrosoftのIEとの激戦によって、web2.0時代に夢を経たれたマーク・アンドリーセン氏が創設した「a16z」という組織で、web3.0という次なる時代にもう一度勝負を仕掛けてきたと思うと胸の熱い展開のようにも思えます。
この先、仮想通貨市場の調整相場が訪れたときこそ、どのプロジェクトに投資をするかが非常に重要になってくるためa16zの動向を常に追っていきたいと思います。
Twitterでは度々a16zの仮想通貨のポートフォリオが公開されているので、それらを参考にして投資すべき銘柄選定を行っていきたいと思います。
あまり利益が出てなかったり、どの銘柄を買えばいいのかわからない、とかそういう悩みがある方はぜひa16zのポートフォリオを参考にしてみましょう。
HP:https://a16z.com/
Podcast:https://open.spotify.com/show/5bC65RDvs3oxnLyqqvkUYX
メディア:https://a16z.com/tag/16-minutes/